2013年11月11日月曜日

高見島は、細い路地が家々をつなぐ。石垣と家屋に挟まれた小道の散歩は、前進しないと先の風景が分からない。だから、思いがけない風景と突然の出会いをすることも楽しみのうちの一つだ。真っ赤な紅葉、眼下の海・・・







中塚邸から順路をさらに進む。
朽ちて崩壊した廃屋が現れた。
人の立ち去った家屋は、雨風そして植物によって屋根・壁が浸食され、保管されていたはずの生活道具が溢れ出す。時間の流れに抗えず、押し崩された暮らしの場。






この廃屋を見下ろす高台に、「刻」が設置されている。
立体コースの大学院二回生の青木亜樹さんの作品だ。およそ二ヶ月の間、高見島で滞在制作を行った。「島に流れる時間と自分の時間が重なる」ところに生まれた作品と、青木さんからうかがった。島に流れる時間と、作るという行為の時間とが重なり合って生まれた構造物。蛸壺として使われる貝殻、漁網、農具、そして島の時間、青木さんの時間が堆積している。さらには、それが風化してゆく過程も作品の一部となってゆく。

青木亜樹さん「刻」