2013年10月14日月曜日

お接待の茶粥で心も体を温かくなり、高見いこいの家の前の急な坂道を上ってゆく。
山の斜面に沿った坂道と階段状の石垣が続く。
数分歩くと、右手にグランドが見える。
高見小・中学校の校庭だ。10月26日に映像コースの相内啓司先生による能舞台「水軍女王」が上演される予定の場所。今は、舞台装置を制作中の様子。

小・中学校を通り過ぎ、道沿いにどんどん上がってゆくと、お城のような立派な石垣が目に飛び込んだ。

この石垣を作るためには、石を運んでこの坂道を何度行き来したのか・・・と想像すると、高見島が賑やかで華やかであった時代が偲ばれる。現在は空家となっているこのお家。日本画コースの小西先生と卒業生三名が作品を展開している。



浦港から集落の方へ進んでゆくと、公民館「高見いこいの家」が右手に見える。
左手にある急な坂を上ってゆくと、空き民家を利用した作品群へと続く。

さあ「がんばって坂を上ろう!」と気合いを入れているところに、「茶粥はどうですか〜」との女性の声。その声がとても素敵だったので、お接待にあずかることとなる。



地域の伝統料理である茶粥。対岸の四国多度津町に嫁いだ高見島育ちの奥様が、茶粥を運んでくださった。巡礼の伝統のある四国では「お接待」の伝統を持つ。巡礼者を力づけるために、無料で提供される食べ物。
瀬戸内国際芸術祭は、瀬戸内の島を舞台としたアートの巡礼とも言えなくはない。降り止まない雨に冷えた体に、あたたかな茶粥が何とも言えず有り難い。



茶粥は「どくけし」と呼ばれる雑草の種を煮出した汁で作られる。この茶色い粒が、「どくけし」の種を乾燥させたもの。



こちらは、刈り取ったばかりの「どくけし」。
高見島を散策しているとあちこちで見つけることができる。
「どくけし」という名が語るように、島の先人方は、野草の持つデトックス効果をご存知だったのだろう。巡礼者の疲れを癒す茶粥は、まさに「どくけし」。

秋会期中の土・日・祝のみ、一日100食の茶粥が、高見いこいの家でふるまわれる予定だ。茶粥をお運びくださる地域の人たちとの会話に、心が弾むひとときでもある。

浦港で来訪者を迎えるもう一つの作品は、洋画コースの小松敏宏先生の「Sea Room」だ。


高見島の形をもとにして成形されたパビリオン型のこの作品。中に入っていくと・・・



高さ10cmほどのガラス容器が、何段も積み重ねて構築されたパビリオン。
ガラス容器の中には何が入っているのか、さらに近づいてよく見てみたくなる。


高見の港で採取された海水が容器を満たす。
海水越しに透けて見える港の光景。
この瓶には、港に停泊中の船が映る。
まるで、高見の風景を小瓶に閉じ込めたよう。
何千個にものぼるガラス瓶は陸と空の間で海水をたたえ、あるものは貝殻を、あるものは船の姿を、またあるものは来訪者の姿を、優しく抱きかかえている。




新なぎさ号が高見島の浦港に近づくと、真っ先に目に飛び込んでくるのは、鮮やかな黄色だ。数えきれないほどたくさんの黄色い旗が、港から始まり集落へと続いている。
テキスタイルコースの市村冨美夫先生と中川裕孝先生による作品「畏敬・よみがえる失われたかたち」だ。



瀬戸内国際芸術祭・秋会期のオープニングが行われた10月5日は、あいにくの雨模様。それにも関わらず、輝く黄色が島を彩っている。


近づいて見ると、旗の上に青い色の手形を発見。風にたなびく手形、手形、手形・・・3000枚の旗のすべてに!


多度津町すべての園児、小中学生たちが作った手形の旗だという。勢いよく押された絵の具のはみ出しや滲みから、子供たちの元気のよさが伝わってくるよう。


幼稚園児の女の子とお母さんが、自分が作った旗を見つけ出そうと頑張っておられた。3000本の中から探すのは、なかなか大変ではある。が「見つけた!」との声を聞くと、嬉しくなってくる。

2013年10月7日月曜日

10月4日、現代アートプロジェクト演習の履修学生13人とともに、バスをチャーターして京都から高見島に向かう。
多度津港でバスを降りると、目に飛び込んできたのは「新なぎさ号」
学生から「かわいい!」の歓声が上がる。
225人乗りの船体全体を覆うピンクの模様。
船体が大きなぶん、迫力のあるキュートアップ。
かわいらしさの威力に、「早く乗りたい!」




西山美なコさんによる「新なぎさ号・キュート・アップ作戦」


乗船券売り場もキュート・アップ

多度津—高見島の航路は、このキュートアップ新なぎさ号が運行する。
航行中は、船の中からでしか見られないマーク探しができるとのことで、
ワクワクして待つ。。。
どんなマークかは、乗船して、探して、確かめてください!